固-液抽出法

固-液抽出法とは

固-液抽出は、数え切れない科学的ブレイクスルーの礎であり、その根源は科学的研究の発端にまでさかのぼります。古代文明のシンプルな蒸留法から、現代の機器によって可能となったソックスレー抽出のような洗練された技術へと進化した現在、抽出の重要性に議論の余地はありません。BUCHIはこの発展の精神を受け継ぎ、最新技術を結集した当社の抽出装置を通して、食品や飼料、環境と化学、そして広範な実験分野の将来を推進することに専念しています。

今日、固-液抽出、ソックスレー抽出、および加圧溶媒抽出などの抽出技術は、複雑な混合物分析のための試料調製から、環境試験、食品品質管理、規制遵守まで、さまざまな研究分野で役立っています。広範囲にわたる当社機器の構成は、このアプリケーションの多様性を反映して、精密、高速、安全、かつ信頼あるソリューションを提供します。

抽出技術における膨大な経験を背景に、BUCHIは、最高の挑戦に必要な要件を満たす世界中の研究室と協力して、先進の機器、サービス、科学的革新の道筋を具現化しています。
 

基準となる抽出法の探求

抽出にはさまざまな方法があります。最も伝統的で広く使用されてきた方法の1つは、Franz von Soxhletが19世紀に開発したソックスレー抽出で、蒸留による連続的な抽出法です。伝統的で古典的な抽出法であることに加えて、高速かつ大幅に溶媒消費量を削減できるより新しい抽出法が利用できるようになっています。効率を向上させる1つの方法は、抽出温度を上げることです。この効果を利用する方法は2つあり、高温抽出(Randall抽出)と蒸気加熱式抽出(Twisselmann抽出)です。最近では、加圧溶媒抽出(PSE)法のように、圧力を上げることでさらに効率が改善しています。

図1:抽出工程

 

Ⓐ 抽出溶媒
Ⓑ 抽出試料
Ⓒ 抽出混合物
Ⓓ 抽出残渣
Ⓔ 抽出溶液
Ⓕ 抽出溶媒
Ⓖ 抽出物t
 

ソックスレー抽出の仕組み

これは固-液抽出法であり、継続する溶媒の蒸留によって試料の連続的抽出が可能になり、効率性が増大します。ホモジナイズした試料は、溶媒に溶解する成分と溶解しない成分の混合物です。抽出用の試料を円筒ろ紙に入れます。溶媒は試料と分離、加熱され、蒸発します。

図2:ソックスレー抽出

凝縮した溶媒が試料と混ざります。抽出用円筒ろ紙が溶媒で満たされると、一部の可溶性成分が試料から分離されます。抽出物はサイホンの原理により、溶媒と共に溶媒容器に戻り、残りの可溶性成分と不溶性成分は試料に残ります。この処理が数回繰り返され、試料は蒸留された新しい溶媒により連続的に抽出されます。抽出される可溶性成分の割合が増加し、不溶性成分は残渣として残ります。サイホンの繰り返しをサイクルと呼びます。ソックスレー抽出の温度は溶媒の沸点に制限されます。

高温抽出の仕組み

この方法はRandall抽出とも呼ばれ、試料を直接溶媒容器に入れます。したがって、試料は沸騰した溶媒に浸され抽出されます。この処理では試料に対して、ソックスレー抽出より高い温度が適用されるため、抽出効率が向上します。可溶性成分は試料からリリースされ、後に続く溶媒の蒸発により溶媒容器に集積されます。

図3:高温抽出

Twisselmann抽出の仕組み

蒸気加熱式抽出(ECE)は、ソックスレー抽出と同様に、試料は溶媒に浸しません。ソックスレー抽出と異なるのは、溶媒を抽出容器内で溜める構造が無い事です。ECEでは、蒸留された新しい溶媒で効率的にリンスされますが、試料は熱い蒸気中に保持されます。高温の蒸気と蒸留された新たな溶媒の組み合わせにより抽出の効率が向上します。

図4:蒸気加熱式抽出

加圧溶媒抽出の仕組み

固-液抽出の中で、この抽出法は、圧力を加えて試料の抽出を行います。この方法では、溶媒の沸点を超える温度に上げられるように圧力を上昇させ、抽出効率を向上させます。温度が高いほど成分の溶解度と溶媒の粘性は減少します。溶媒は、各抽出サイクルで他の抽出法より多くの成分が抽出されます。試料をステンレス製のセルに入れ、溶媒を混合して高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプで送液し、高圧(150 bar以下)かつ高温(200℃以下)条件で抽出します。試料は、用途に応じて加圧下で適切な時間、高温の溶媒に浸されます。抽出が終了すると、抽出物をバイアルに収集し、その後の分析用に濃縮する場合があります。

図5:加圧溶媒抽出

 

① 溶媒ボトル
② HPLCポンプ
③ ポジションバルブ
④ 圧力計
⑤ 抽出セル
⑥ 加熱ブロック
⑦ 捕集ボトル
⑧ 廃液瓶

影響する因子の考慮

初めに考慮すべき重要な因子は、抽出物質に対して抽出溶媒がどのような状況であっても不活性でなければならないということです。また、その他の多くのパラメーターも抽出の回収率や速度に影響を及ぼします。抽出工程を最適化する際に最も考慮すべき重要なポイントを以下の表に記載します。

表1:抽出工程に対する影響
抽出の回収率に影響を及ぼす因子

抽出の速度に影響を及ぼす因子

選択した抽出溶媒で抽出される成分の溶解性(極性が類似している必要があります)

 

抽出物質の粒子径

抽出物質と抽出溶媒の混合の完全性

 

抽出物質と抽出溶媒が混合される程度

抽出容器のサイズと回数(ソックスレー抽出の場合のサイクル数または他の方法における溶媒の滴下速度)

試料の性質(含有脂質、水分、サイズ、表面積、均質性) 

最適な抽出パラメーターを確実に使用する最善策の1つは、述べてきた標準的な方法のいずれかを応用することです。こういった手順は、検証され公認された抽出方法とパラメーターが含まれるもので、抽出作業の流れの信頼性を高めることに役立つものです。

抽出終了を判定する方法

抽出工程を続けると、抽出物質内の可溶性成分の濃度は抽出をさらに継続する価値がないという時点に到達するまで、着実に減少します。この時点を実用的完結と呼びます。実用的完結点に到達するまでに抽出に要する抽出溶媒量(サイクル数)は、ほぼ抽出される物質の溶解性に依存します。多くの場合、実用的完結の判断は経験の域を出ませんが、その時点に到達したのかを評価するのに役立てることができる方法があります。抽出終了を判定するのに最も一般的な方法の1つは、含有量が分かっている基準物質を使用して抽出法を検証することです。

図6:抽出終了の判定

 

Ⓐ 試料中の可溶性成分濃度
Ⓑ 抽出回数
Ⓒ 抽出物含有量